バリアフリーモデルハウス体験

バリアフリーモデルハウス体験

2024/05/17

福祉用具 その他(福祉用具)

バリアフリーモデルプラス体験

 バリアフリー住宅のモデルハウスを体験してみましょう。下の写真は佐賀県在宅生活サポートセンターの別棟のバリアフリーモデルハウスです。 


 ①玄関前

玄関までの段差を無くし、玄関扉の外側には側溝、その上に水の侵入を防ぐグレーチングを設置しており、大雨などで玄関の屋根を超えて雨が振り込んでも玄関内に水が侵入しない。扉は開け閉めし易い引き戸を採用。


 ②アプローチ・スロープ

 
玄関横からテラスへスロープ(1/12以下の傾斜角度)で上がって行ける。手すりも子供用と大人用の2段になっている。テラスから居室に入 る扉は掃き出し窓で、敷居に段差の無いバリアフリーサッシを採用。水の侵入を防ぐため玄関前と同じく側溝とグレーチングで仕上げている。車椅子でテラスから出入りするときには、車椅子のタイヤの清拭方法を検討しておくことが大切。


 ③玄関内

 
玄関内には、車椅子でも上り框を上がれるよう落ち止めフラップの付いた段差解消機が設置されている。また、歩行器や杖歩行などで来られる人を想定して、上り框の前に椅子や上り框の段差を少なくする階段手すり昇降椅子などが準備されている。訪問する人によって家へ上がる方法や外出に伴う段差の移動方法を変えられるようになっている。


 ④ホール

 バリアフリーモデルハウスは、部屋と部屋の間の敷居に段差がないため、上り框を上がった後、相談者の移動方法に応じて隣のショールームから適切な移動補助器具(杖や歩行器、車椅子など)を持ってきてモデルルーム内の移動を試すことができる。この際、移動補助器具(杖や歩行器、車椅子など)の選択はとても重要。適切な移動補助器がないときにはメーカーや福祉環境研究所から借りる。玄関ホールには、2階への階段ホームエレベーター、そして椅子型の階段昇降機などが設置されており、実際に2階への昇降を体験できる。体験後にそれらの設備の中で、本人に適合する機種や型式を検討して決定していく事になる。


 ⑤キッチン ⑥リビング17畳

 玄関ホールから右に入った部屋がキッチンとリビングになっている。
台所の高さを記入したシンクや調理台、電磁調理器、冷蔵庫、換気扇などが設置されており、調理体験ができる。また、リビング側には、洗面器や調理台の適切な高さを計測するための設備があり、住宅設計や改造相談を適切に進めることができる。もちろん食卓テーブルや食事用の皿やコップなどの自助具など、そして呼び出しベルインターホン見守り設備なども準備されている。訪問者に適切な食事用具や調理用具が不足している場合は、スタッフに相談して、展示室から持ってきて試すことができる。このリビングには、多目的車椅子歩行器、そして介護による洗髪や手足洗浄機など介護者の負担と被介護者の生活の心地良さを改善する福祉機器も展示されている。


 ⑦廊下

 廊下からは、前述した階段ホームエレベーターへの通路に加え、2畳のバリアフリートイレ1畳の家族用トイレ、洗面脱衣室、寝室への扉がついている。廊下の幅は、1800mmあるので、車椅子や歩行器、杖での行き来もドアの開閉も可能である。

 ⑧トイレ2畳と1畳

 2畳のバリアフリートイレの扉は、折れ戸になっており開口幅が広く、車椅子や歩行器などでの出入りも問題なくできる。洋式便器は、扉を開けた正面に配置されており、その横に汚物処理器が設置されている。洋式便器に向かって右側の壁にはL型手すり、洋式便器に向かって左側の汚物処理器との間には跳ね上げ手すりが設置されており、移乗動作や排便姿勢の安定が図られている。また、便器の後ろには、排水タンクの前に柔らかい背もたれが設置されており、座位姿勢の安定に配慮されている。

   1畳の家族用トイレの扉は、外開きのドアである。洋式便器に向かって右側の壁にL型手すり、左側に横手すりが設置されている。また、水回り用車いす(トイレキャリー)が洋式便器を跨ぐように置かれており、この水回り用車椅子を使えば、洋式便器まで介助者は容易に押して移動させることが分かる。バリアフリーモデルハウスは、部屋と部屋の間の敷居に段差がないため、この水回り用車椅子に座って用便した後、介助者が浴室へ押して行くことができ、そのままシャワー浴が可能となる。また、一般の住宅では普通のトイレであるが、85cm幅の狭いトイレ幅であっても6輪車いすやコンパクトな車椅子であれば、斜め前方移乗ができる人であれば、この広さで用便できることも伝達したい内容である。用便できなければ、バリアフリートイレを使って、どの程度の広さで移乗できるかを計測することもできる。


 ⑨洗面・脱衣室

 洗面・脱衣室の扉は、半折れ戸で、開いた時の有効開講幅60cmが敷居のところに書かれており、通過できる車椅子の幅が分かり易くなっている。
洗面・脱衣室に入ると、右側に洗髪洗面台と鏡や収納、洗面台の下には、座って洗面するときの椅子、洗面台の横にはドラム型の洗濯機が置かれている。洗濯機の扉は、開き戸なので、洗濯物の出し入れが容易。洗面・脱衣室からは、廊下や浴室への扉だけでなく、バリアフリートイレや寝室へとつながる扉がある。バリアフリートイレへの有効開口幅は82cm、廊下への有効開口は60cm、寝室への有効開講は96㎝と書かれている。 



 ⑩浴室2.5畳

 浴室の扉は、3枚の引き込み戸で、2枚を引き込むと浴室への有効開口が93cmになるということが戸の脱衣室側に書かれており、通過が容易であることがわかる。浴室内には、天井走行リフトシャワーチェアシャワーキャリーシートと車輪部の脱着式)、移乗台浴室内いす手すりなどが所狭しと配置されており、また、床下収納点検口が設置されている。
相談者の身体機能に合わせて福祉用具を選択し、不要なものを浴室の外へ出してから、入浴動作のシミュレーションを行い、改修方法を決定する。手すりの高さも壁に書かれているので、相談者に合った高さを決めるときの目安となる。決定するときは実測して決めることと使用しない手すりは設置しないことが大切。


 ⑪寝室10畳

  寝室への扉は、3枚の引き込み戸で、2枚を引き込むと浴室への有効開口が96cmになると敷居のところに記入されており、通過できる車椅子や歩行器などの幅が分かり易くなっている。
   寝室には、電動介護ベッドモジュラー型車椅子(レボ)、据え置き式リフトがベッドを挟んで設置されている。また、ベッドの横の壁側に洗面器が設置されており、介助者の手洗いや被介助者の清拭に活用できると思われる。加えて、ベッドのすぐ横で浴室側に扉がある。扉を開けると、洋式便器が設置されており、尿意や便意を感じたらすぐにトイレへ行けるようになっている。エアコンも上部壁側に設置されている。車いす上には、トランスファーボードが置かれており、相談者の身体機能によって、リフトの使用や移乗補助器具の使用、自立使用と介助使用などを決めて行けるようになっている。




 ⑫畳・小上がりコーナー

 畳・小上がりコーナーへの扉は引き戸で、開けると133cmの開口が得られる。部屋に入ると、50cmの高さの畳敷の小上がり(3分割)となっている。3分割の畳の下は、収納となっており、可動式であるため、模様替えもできる。この部屋は、多目的な使用が可能である。見通しのため、壁は設置されていない。


 ⑬広縁

 寝室から広縁への扉は、4枚の引違い戸である。140cm幅の広縁には、立ち上がり補助具「たっちあっぷ」や立ち上がり用手すり、立ち上がりを配慮した椅子などが配置されている。また。テラスへの扉は、引き戸のアルミサッシで、開閉するには少し重いが103cmという広い開口幅があるので、通常の出入口として、また非常時の脱出経路としても使用できる。通常の出入口にする場合、車椅子を使用するときは、タイヤを拭く方法や汚れ落としの方法を考えておくことが必要となる。