ペット共生とバリアフリー

ペット共生とバリアフリー

2024/10/14

単位空間 その他(単位空間)

シニアにやさしい家はペットにもやさしい

 ペット(犬・猫)全体の飼育数は近年緩やかに減少傾向にありながらも、いまや少子化により減少し続けている15歳未満の人口を上まわっていますまた、50代以降のミドルシニアのペット飼育数は減少しておらず、むしろ猫の飼育数にいたっては微増傾向にあるようです。このことから若年層のペット飼育率は減少していても、これからの「人生100年時代」はペットとの共生を望むシニア層が増えていく可能性も高く、このことはペット関連ビジネスのニーズが拡大していることからもうかがえます。

人とペット両方の視点

 ペット共生の家に大事なのは住んでいる人とペット両方の視点です

人にとっての住みやすさ・快適さが大まかに言うと設備やデザインだとするなら、ペットとっての住みやすさ安全に安心して過ごせることです。そして実はこのことはシニア世代にとっても同じです。

人とペット共通の住みやすさ年齢やライフステージった柔軟適応環境であり、ペットにとって共通のユニバーサルデザインです。

 人にとって安全で暮らしやすい家はペットも暮らしやすく、危険で暮らしにくい家ペットにとっても暮らしにくい、高齢のペットにとってはなおさらです

 ペットフードの改良や室内で飼うことが主流化してきた近年、ペットも人間同様に長寿化て高齢となった犬や猫の割合が高くなってきました。平均寿命は15歳前後と昔に比べかなり伸びています。そして、やはり人間と同じく犬や猫も老化に伴う足腰や視力・聴力等衰えが出はじめ段差や階段が苦手(とくに小型犬)なり暑さ寒さへの対応力も弱くなってきます

高齢化するにつれ、バリアフリーや温度管理必要性が高まるの人もペットも同じだということよくわかります

ペットがシニア世代に与える影響

 ペットと暮らすことは高齢者に限らず、動物とのふれあいを通じて心身の癒しを得る“アニマルセラピー”効果もあると言われますが、これまでの調査結果から、65歳以上のシニア世代とペットとの共生は、癒しの効果による情緒の安定やストレスの減少、認知症の予防などさまざまな好影響を与えることが明らかになってきています。

 

・寂しくなくなり、ストレスが軽減される。

・食事の世話や散歩等により規則正しい生活を送れる。

・散歩等により適度な運動できる。

・ペットを通じて他者とのコミュニケーションの機会が増える。

・これら生活管理、適度な運動や会話等が認知症の予防や症状の緩和につながる。

・日々の生活に生きがい充実感が生まれる。

ペットと暮らす家の配慮ポイント

 子どもの独立後に夫婦二人となってペットを飼うケースや、高齢者が高齢のペットと暮らすケースも増えています。人もペットも健康で元気に長生きしたいものですが、そのためにはまず事故の無い安全な住環境が必要です。

 例えば、滑りやすい床や段差は人の転倒の原因だけでなく、ペットにもストレスとなり、とくに小型犬は関節を痛めたり脱臼(膝蓋骨脱臼=パテラ)や骨折の原因となります。事故の最も多い発生場所も人と同じく滞在時間の最も長いリビングです。足の短い小型犬は椎間板ヘルニアになりやすいこともわかっています。また、高齢になると人もペットも自分で体温調整ができなくなるため部屋の温度管理も重要です。

 

ペットの家庭内事故の例

 

滑りやすい床小さな段差などによる脱臼・骨折

 傷の付きにくい固いフローリング材よりも、柔らかい無垢材やコルクタイル等の方がペットにとっても安全で快適ですが、汚れやすく傷つきやすいという弱点があります。ペット用のクッションフロアーや防滑シート、毛足の短いカーペット(毛先がループ状のものはペットの足の爪が引っ掛かり危険です)などの選択肢もあり、汚れた部分だけ取り外して洗えるものもあります。

 

電源コードやプラグ噛んで感電

 電源プラグやケーブルを犬や猫がオモチャ代わりにして齧ってしまうことがあります。感電する危険があるため、むき出しにならないようケーブルボックス等で覆いましょう

 

コンセントに尿がかかるなどの原因でショートして火災

 犬種によってはコンセント位置にマーキングして尿がかかってしまい、ショートして火災を招くケースなどもあるため、コンセントを高い位置設置したり、コンセントカバーで使わないコンセントの穴を塞ぎましょう。また、タコ足配線も発火の危険があるため注意しましょう。


 

床暖房等気づかぬうちに熱中症

 暑かったり寒かったりしたときは、ペットが自分で移動できる逃げ場つくりましょう。床暖房の上にケージやペット・サークルを置いてそこから出られないようにするのは危険です(とくに鼻の短い犬種は体温の放熱が苦手)。エアコン等でしっかり温度管理し、冬は毛布などを置いておきましょう。

浴槽火傷溺死

 手足の短い犬や猫が浴槽に落ちて脱出できずに溺死するケースは少なくありません。浴槽にお湯を張ったときはもちろん、浴室極力入らせないようにすることが望まれます。

 

キッチンでの火傷・ケガ

 ペットにとってオープンキッチンは危険がいっぱいです。IHコンロは火出ないためペットは危険と判断できず、飛び乗って火傷をする可能性があります。また刃物食器も安全な場所に収納しましょう

 

誤食誤飲による事故中毒

 薬や乾燥剤・保冷剤、食べ物(ネギ類、チョコレートなど)や植物(シクラメン、ポインセチア、ユリ、チューリップなど)食べると中毒症状を起こす危険があり、小型電池や小さなオモチャなど飲み込める大きさのものも置き場所に注意しましょうまた、訪問した際に飼い主の許可なしにペットに食べ物を与えることは絶対に避けましょう。

 

ドア開閉時の事故

 開き戸の場合、戸の向こうにいるペットに開けた戸が激突したり、閉める時にペットが挟んでしまうこともあり、それらの危険が少ない引き戸の方が人と同じくペットにもやさしいと言えます。引き戸なら少し開けておいてペットの出入口にすることもできます。ドアによる挟まり事故を防ぐためのドアストッパーや開閉減速アイテムも販売されています。



不適切環境によるペットのストレス

外からの騒音

 二重サッシ(フレームはアルミより樹脂製)や二重カーテン等で防音することで、外からの騒音を防ぐと同時に、ペットの鳴き声が外に漏れるのも防止、さらに結露も防ぎ気密・断熱性能も向上します。

 

運動不足

 犬は散歩できないと運動不足になりストレスが生じます。室内の段差を解消し移動のストレスを無くせば、高齢のペットでも動き回れるようになり筋力の低下を防げます。

 

室内空気汚染化学物質ハウスダストカビウイルス二酸化炭素など)

 いわゆるシックハウス症候群の要因でもありますが、これら下層に漂うため、体が小さくての近くで生活するペットの方がむしろ人よりも多く悪影響を受けます。換気も非常に重要となります。

 

採光不足

 人もペットも高齢化により骨が脆くなるため適度の日光浴が必要です。大きな窓からの採光が望まれますが、窓から外が見えすぎると、動くものを観る度に吠える神経質なペットもいるため要注意です。

 

照明の明るさ

 人もペット目が老化すると、明るい照明が必要になりますが、明るすぎて眩しいと逆にストレスとなります。調光式人感センサー付きの照明を使い、明るさを効率よく配置しましょう。

 

ペットによる近隣トラブル

 

 近隣トラブルには、鳴き声散歩時の排泄物脱走臭いなどがあります。それぞれなんらかの対策が必要ですが、それらはきちんとしたペットの躾(しつけ)が前提でもあります。これからも高齢になればなるほど、ご近所とも助け合いが必要になり末永く良好な関係を保つことが望まれます。近隣トラブルはできるだけ避け、ペットと一緒に快適なシニアライフを過ごせるよう近隣にも配慮しましょう。

 ⇒ ペットと防災