シニア世帯の防犯対策②(窓・玄関篇)
犯罪者の侵入経路は「窓・玄関」からが7割以上

犯罪者の侵入経路は戸建て・集合住宅にかかわらず、「窓」や「玄関」からの侵入が7割以上であり、とくに戸建住宅では窓からの侵入が半数以上を占めています。
最も多いのは鍵の掛かっていない玄関や窓からの侵入であり(鍵のかけ忘れ!)、次に多いのは、窓ガラスを破壊して侵入する「ガラス破り」です。
侵入の手口と対策(窓)
●ガラス破り
庭に面した高窓や掃出窓などのガラスを割り、そこから手を入れて解錠する手口です。通常のガラスであれば数秒で解錠されてしまいます。こじ破り・打ち破り・焼き破りなどの手口があります。
① こじ破り
ドライバーなどを窓ガラスとサッシの境に打ち込んでガラスに部分的に穴を開け、そこから指を入れて、クレセント錠を解錠して侵入します。 たいした技術を必要とせず、大きな音もしないため多用される手口です。
② 打ち破り
窓ガラスに石やレンガを投げつけたり、叩き割って侵入します。大きな音がしますが、誰でもスピーディーに行えるため、人目を気にしない犯行に使われます。
③ 焼き破り
バーナーなどで窓ガラスを熱した後に水や冷却スプレー等で急激に冷やしてガラスを割ります。とくに技術を必要とせず15~20秒程度で割ることができ、ほとんど音はしません。
■対 策
対策としては、窓に補助錠を付ける、面格子を付ける、夜や不在時には雨戸やシャッターを閉める、窓ガラスを防犯ガラスに換える、既存のガラスに防犯フィルムを貼るなどがあります。また、網入りガラスは、防火用のため、侵入防止に効果はありません。
【防犯ガラス】
2枚の板ガラスの間に特殊な膜を挟み込むことで割れにくくしたガラスです。通常のガラスに比べ高い防犯性能を持ち、焼き破りに対応した耐熱強化ガラスもあります。また、性能ステッカーも貼られているため侵入者を牽制する効果もあり、さらに防犯だけでなく、災害時の衝撃にも強く、紫外線や騒音を遮断する効果もあります。
【防犯フィルム】
防犯フィルムは、既存の窓ガラスに貼ることで効果を発揮します。ホームセンターなどでも販売されており、簡単に入手・施工できますが、フィルムをクレセントや補助錠の近くに部分的に貼るだけでは広範囲に割られると意味がないため、窓ガラスの全面に貼りましょう。ガラスの飛散を防ぐため災害時にもメリットがあります。ただ、種類によっては目隠し程度で強度は期待できないものもあるため、防犯性が高いCPマークのついた認定商品を選び、プロに貼りつけてもらうのが確実です。
【補助錠】
メインの錠とは別に補助的に付ける錠で、防犯上有効な対策のひとつです。後付け可能なもの、簡単に取り外し可能なものも市販されているため、賃貸でも手軽に使えます。鍵の数が多ければ、その分侵入するのが困難になります。窓を割る場合、割った所から手を入れて鍵を開けますが、補助錠が離れた位置についていると、その分、広範囲のガラスを割る手間がかかります(別種の錠を離れた位置につけるのが効果的)。
【窓用防犯ブザー(アラーム)】
窓用の防犯ブザーは比較的安価で取付も簡単です。引き違い窓に適した開放検知型、開き戸 (窓)に適した衝撃検知型、両方の特徴を兼ね備えた開放・衝撃検知型があります。窓用防犯ブザーは、開閉や振動などの異常を検知すると、大音量のブザーを鳴らすため侵入者にはかなりの効果があります(玄関用もあります)。
侵入の手口と対策(玄関)
●ドア錠こじ破り(こじあけ)
窓の“こじ破り”よりも強引な手口で、バールなどの工具をドアとドア枠の隙間に入れ、てこの原理で無理やりドア錠を破壊します。非常に荒っぽい方法ですが、高い技術を必要とせず誰にでも行えるため増えてきており、強度の弱いドアや錠は短時間で破壊され侵入されてしまいます。
●ピッキング
ピックと呼ばれる金属製の専用工具をシリンダー部分に差し込み、ドア錠を短時間で開ける手口です。侵入者側にはある程度の技術が必要ですが、ピッキング手口に対応した錠でなければ、ほんの1分も掛からず開錠されてしまうケースもあります。
●サムターン回し
ドアに電動ドリルなどで穴を開け、サムターン(室内側からドアを施錠・解錠するためのつまみ)を外から操作して侵入する手口です。音はしますが1~2分で開錠できます。ドアの材質によってはハンドドリルなどで音もさせず穴を開けてしまうケースや、玄関ドアのガラス部分を割って手を入れ開錠するケース、マンションやアパートなどではドアスコープやドアポストの穴から工具を差し込み開錠するケースも多く見られます。
■対 策
対策としては、まず1ドア2ロックが基本です。錠が2つ以上付いていれば、侵入に要する時間も2倍以上かかるため、見た目だけで侵入をあきらめさせる効果もあります。
玄関ドアだけでなく、勝手口や窓も補助錠を付けて2ロック以上にするのが理想です。
【ガードプレート】
こじ破り対策に特化した防犯プレートです。扉と扉枠の隙間を塞ぎ、バールなどの工具が隙間に入らなくします。 比較的安価ですが、取り付けは専門業者(鍵屋・工務店等)に依頼するのが安心です。
【鎌付デッドボルト】
デッドボルトとは「かんぬき」のことです。CP認定錠の補助錠をつけると、バール攻撃などに強い抵抗力を発揮します。
【サムターンカバー】
サムターンガードとも呼ばれ、サムターンを覆うことで、工具を差し込んで解錠するサムターン回しを防ぎます。徘徊防止にも使われます。
【ディンプルキー】
“ディンプル” とは鍵の表面の“くぼみ” のことです。ピッキングは特に旧式のピンシリンダー錠(ギザギザが一方向のみ)やディスクシリンダー錠(両側がギザギザしている)が狙われやすく、 今はピッキングに強いディンプルキーが主流です。 耐性が高くドリルなどの破壊開錠にも強い、複製が難しいなどの特徴もあります。鍵が古い場合はCPマークのついたディンプルキーへの交換を検討しましょう。
【電気錠/電子錠】
遠隔操作でドアの施錠・開錠ができるロックシステムです。電気錠は電気配線を使用し、電子錠は電池を使用します。鍵穴が無いためピッキングやサムターンを防ぐ効果があり、鍵を紛失したり盗まれるリスクもありません。後付けできる物もあり、閉まると自動的に施錠するオートロック式(閉め忘れが無い)やスマホ連動のものもあり、車いすユーザーにも便利です。
■防犯性の高いCP製品
建物に侵入する際に「5分以内」に侵入できなければ、侵入者約の7割が侵入を諦めると言われ、この侵入されずにに耐えられる「抵抗時間」が5分以上であると認定された防犯性能の高い建物部品がCP製品です。警察庁、国土交通省、経済産業省、建物部品関連団体で構成される官民合同会議で定められた基準をクリアした住宅部品に付けられ、「CPマーク」を貼ることが認められています。 CP製品には、ドア、錠前、シリンダー、サムターン、サッシ、ガラス、防犯フィルム、雨戸、面格子、窓シャッターなど多くの製品が認定されています。