熱中症とヒートショックどっちが危険?
夏も冬も屋内が危険!~命を守る住宅性能の重要性~
夏の熱中症と冬のヒートショック
〜本当に怖いのはどちら?〜
突然ですが、皆様に質問です。夏場の熱中症と冬場のヒートショック、一年間でより多くの人の命を奪っているのは、どちらでしょう?
● 熱中症
夏場、体温が上がり体内の水分や塩分のバランスが崩れ、めまい、けいれん、頭痛などさまざまな症状を起こす病気です。近年の夏は地球温暖化の影響もあり35℃以上の猛暑日や25℃以上の熱帯夜が増加傾向です。熱中症はもはや特別な環境下で起こるものではなく「誰でも、どこでも」起こりうる身近な危険です。特に高齢者(救急搬送者の6割)が屋内(発生場所の6割)で重症化するケースが多く、要注意です。
● ヒートショック
冬場、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、心臓や血管に重大な負担がかかる現象です。例えば、暖かいリビングから寒い脱衣所や浴室へ移動して血圧が急上昇、その後に熱い湯舟に浸かって血圧が急低下、それが失神や心筋梗塞、脳卒中などの引き金となり、最悪の場合は浴槽内での溺死などにつながります。これらによる死亡者数は今や交通事故の4~5倍であり、やはりその約6割が65歳以上の高齢者です。
年間の死亡者数には驚くべき差が
熱中症とヒートショック、どちらも命に関わる重大な危険であることに変わりはありませんが、実は比較してみると死亡者数には大きな差があります。
なぜこれほど差があるのか?
1.認知度の差
夏場の熱中症は、子供から大人までリスクがあるとしてメディアで連日大きく報道されますが、冬場のヒートショックは、主に高齢者が対象となるせいか、メディアによる注意喚起も少なく、本人も周りも危険性の認識が不十分なのが現状です。
2.発生状況
熱中症はめまい・頭痛などの前兆があるのに対し、ヒートショックは急激な血圧変動で突然意識を失うことが多く、また浴室・トイレなどのプライベート空間では発見や救助が遅れがちです。しかも毎日、入浴・排泄の度にリスクに晒されています。
3.対策の難しさ
熱中症は、水分補給やエアコンの使用など都度対応が可能ですが、ヒートショックは家全体の温度差をなくす必要があるため、住宅の断熱改修など根本的な対策に時間とコストがかかりがちです。
工務店ができる「命を守る提案」
高断熱・高気密は熱中症対策にもヒートショック予防にも有効!
1.断熱性能の向上(新築・リフォーム)
壁・床・天井への高性能な断熱材の充填はもちろん、最も熱の出入りが大きい「窓」の性能向上が鍵となります。樹脂サッシやLow-E複層ガラスへの交換は、リフォームでも効果的なヒートショック対策です。
2.浴室・脱衣所・トイレの重点改修(冷暖房器具の設置 他)
エアコンや浴室暖房乾燥機の設置は直接的な対策として有効です。脱衣所に小型パネルヒーターなどを提案するだけでも安全性は格段に向上します。床材は冷たくなく滑りにくく、転倒時には緩衝材にもなるものを選びましょう。床下暖房も効果的です。
3.全館空調システムの提案(家全体を均一な温度に)
家全体の温度差をなくし、均一で快適な温度を保ちますが、初期費用とランニングコストが高くなる点が要注意です。
まとめ
「快適性」や「省エネ」はもちろん大切です。しかし、これからは「お客様の健康と命を守る」という視点こそが、選ばれる工務店の条件となるでしょう。
夏の熱中症だけでなく、冬のヒートショックのリスクまで見据えた家づくり。その価値をしっかりとお客様にお伝えし、ご家族が一年中安心して暮らせる住まいを提供しましょう。